日本人になじみの深いのれん。近年では、さまざまな色ののれんを目にするようになりました。
「店の顔」ともいわれるのれんは、雰囲気を伝える重要な役割をもっています。
今回は、のれんの色の意味や、選び方について解説します。また、風水の観点から、インテリア用のれんの選び方も紹介します。
色の理由を知れば、のれん選びがもっと楽しくなります。ぜひご一読くださいね。
のれんの色による意味の違い
のれんの色には、昔から伝わる意味があります。まずは、のれんの色の違いについて紹介しましょう。
白いのれんの意味
白いのれんは、かつて菓子屋や薬屋さんで使われていました。現在も、白いのれんを使っている菓子屋が多くあります。
菓子屋でよく使う砂糖から白のイメージがつき、定番ののれんの色になったといわれています。昔は砂糖を薬として使っていたこともあり、薬屋も白いのれんを使うようになったそうです。
黒いのれんの意味
黒いのれんは、紫外線を吸収する役割をもつため、日よけのれんとしての効果があります。
また、のれんの黒文字は商売繁盛を願う意味合いをもちます。
緑ののれんの意味
緑ののれんには、人の心を落ち着かせる効果があるといわれています。和菓子屋さんや、小料理屋さんで見かけることが多いのではないでしょうか。
黄色いのれんの意味
黄色は注意喚起などで使われることもあり、人の注目を集めることができる色です。のれんの場合も同様に人目をひくので、目立たせたいときに使う色と考えてよいでしょう。
紫ののれんの意味
日本ではかつて、紫は高貴な色とされ、誰でも身に着けられる色ではありませんでした。
一方で江戸時代になると、金融機関からお金を借りた者が返し終えるまで、紫ののれんをかける暗黙のルールがあったといわれています。
紫は、人によって印象や捉え方が変わる色といえるかもしれません。
青い(藍色)のれんの意味
青いのれんは、呉服屋やそば屋、酒屋で使われることが多いです。
主にのれんで使われる青は、「藍色」のものが多く、植物の「藍」を使って染色していました。藍には、殺虫剤にも使われる成分が含まれており、昔から虫よけ効果があるといわれています。
また、青は海のイメージを与えやすいため、海鮮系の店やお寿司屋さんで使われるケースも多くありますよ。
オレンジののれんの意味
日本で使われるのれんのオレンジ色は、日本古来の色である「柿色」であることが多いです。かつて柿色は高級料亭や宴会場、遊女屋など限られた場所でしか使えませんでした。
しかし、文化の衰退によりそのようなイメージは払拭され、柿色に限らずオレンジ色ののれんは幅広く使われるようになりました。現在は多くの飲食店で目にします。
茶色いのれんの意味
茶色いのれんは、かつてたばこ屋とお茶屋で使われていました。
江戸時代当時のたばこが「刻みたばこ」という茶色の葉だったことから、茶色ののれんが使われるようになったといわれています。
また、お茶屋は「緑茶」や「抹茶」など、緑色のイメージが強いと思いますが、江戸の庶民は茶色い「番茶」を飲んでいたため、茶色ののれんが使われていたという説も。
【店舗用】のれんの色の選び方
次はのれんの色の選び方を紹介します。店舗で使用するのれんの色には、次のような選び方があります。
- お店の雰囲気に合わせて選ぶ
- 色の意味に従って選ぶ
- 作りたいデザインに合わせて選ぶ
次の章で詳しく解説しますね。
お店の雰囲気に合わせて選ぶ
お店の雰囲気に合わせて選ぶ方法です。
どのようなコンセプトで、どんなお客様に来てほしいのか、どのようなイメージを与えたいのかなどによって、選ぶ色が変わってくるでしょう。
一般的に色が与えるイメージを表にまとめたので、参考にしてください。
白 | 純粋、清潔、神聖、スッキリ・軽やかなイメージ |
---|---|
黒 | シック、高級、重厚感、引き締める |
グレー | 不安やあいまい、迷い、シンプルで洗練されている |
赤 | 強さ、熱さ、情熱、高風、元気ややる気を芽生えさせる効果 |
青 | 冷静、悲しみ、気持ちを落ち着かせる、集中力を高める |
緑 | 安らぎや落ち着き、平和、リラックス効果、疲労回復効果 |
黄色 | 明るさや元気、幸せや輝き、注目を集める効果、危険や注意を警告する |
オレンジ | 暖かさ、明るさ、元気、可愛さ、明るい気持ちや親しみやすいイメージ |
紫 | 大人っぽい、セクシー、不安、神秘的、疲労回復や興奮を落ち着ける効果や感性を刺激する効果をもつ |
茶色 | 自然、温もり、落ち着き、緊張を和らげたり信頼感を与えたりする |
高級感を出したければ、紫や黒などが適しています。親しみやすさを出すなら、緑やオレンジなどがよいでしょう。
赤は食欲を刺激するともいわれているので、飲食店におすすめですよ。
のれんの色の意味に従って選ぶ
前章で紹介したのれんの色の意味に従って選ぶ方法です。昔ながらのイメージや意味合いを大事にしたい方におすすめの選び方です。
菓子を提供する店であれば、白いのれんを。お茶を提供する店なら茶色いのれんを選んでみると、老舗のような雰囲気を演出できるのではないでしょうか。
作りたいデザインに合わせて選ぶ
作りたいデザインに合わせて選ぶ方法です。
先にロゴや文字などのデザインを決め、それに合う色を選んでいきます。
例えば、デザインを目立たせたい場合、のれんの色は控えめな色にしたほうがよいでしょう。
のれん自体を目立たせたい場合は、発色の良い色がおすすめです。
【インテリア用】のれんの色は風水にも関係する?
インテリアで使用するのれんの色は、風水の観点からも選ぶことができます。
詳しく紹介しますね。
玄関
まずは、金運に関連するといわれている玄関から解説します。
風水では、玄関からベランダや窓が見えるのはあまり良くないとされています。
なぜなら、せっかく玄関から入ってきた運気が、ベランダや窓からそのまま通り抜けてしまうといわれているからです。そこでのれんを設置することにより、運気が通り抜けていくのを防いでくれます。
玄関にかけるのれんの色は、方角で変わります。方角とラッキーカラーをまとめたので、参考にしてください。
北 | クリーム色・ピンク・ベージュ |
---|---|
北東 | クリーム色・ピンク・ベージュ |
東 | ブルーやアイボリー・黄緑・ベージュ |
南東 | オレンジ・黄緑 |
南 | オフホワイト・ベージュ・緑系統 |
南西 | ライトベージュ・黄緑(草木のような色合い) |
西 | 黄色・ピンク・水色 |
北西 | ベージュ・クリーム色 |
家の中心から見て、玄関がどの方角にあるのかをチェックし、ラッキーカラーののれんをかけてみてはいかがでしょうか。
キッチン
次にキッチンで使うのれんについて。
キッチンは、火を使う場所であり、また水を使う場所でもあります。この2つの性質は、金運と健康運に影響を与えるとされています。
前章で説明したとおり、家の中心から見てキッチンがある方角によって、風水におけるラッキーカラーは変わります。
もし家の中央にキッチンがある場合は「茶色・紫」がラッキーカラーになるそうですよ。
家の中心の気は、生活全般に影響を与えるといわれているため、気を安定させることを意識した色使いが必須。気を安定させる茶色のほか、厄から守る紫が相性が良いといわれています。
とはいえ、家の中の雰囲気や、インテリアとの相性もあります。のれんだけが浮かないように、雰囲気も重視して選んでくださいね。
色別!のれんの製作事例
ここで、のれんの製作事例を色別に紹介します。
白のれんの事例
白いのれんに緑の文字が映えるデザインです。シンプルで店名がわかりやすいですね。
生成りのような白に柔らかいフォントのデザインが、優しい雰囲気を出しています。
黒のれんの事例
黒いのれんいっぱいに文字が入ったデザイン。インパクト大です。昔、赤い文字は赤字を連想させるため避けられていましたが、現代ではかっこよさの演出につながってますね。
手書き風の文字が親しみやすさを感じさせる黒のれんです。縦に長く、目隠しの役割もあります。
緑のれんの事例
文字のみのシンプルなのれんですが、店名のわかりやすさと親しみやすさがあります。
こちらは、家紋が入ったのれんですね。老舗の雰囲気を感じさせます。
黄色のれんの事例
こちらの黄色ののれんは、遠目で見ても目立ちます。明るい色ですが、建物ともマッチしています。
こちらはイラストが入ったデザインです。黄色生地と赤い文字の掛け合わせがとにかく目立ちます。また、店長さんのイラストデザインがキャッチーであり、初めての方でもお店に入りやすいという印象を与えていますね。
紫のれんの事例
縦に文字の入ったのれんです。品の良いデザインで、のれんの色ともマッチした雰囲気が出ています。また、紫ののれんは落ち着いた印象を与えるので、木製の門戸とも相性抜群です。
こちらは藤色のような紫ですね。藤の花のデザインが入り、柔らかい印象を与えます。外の飲食スペースにもかけられており、統一感があります。
青(藍色)のれんの事例
こちらは、絞り染めでデザインされたのれんです。本来の藍染めで作られたもので、特有の色味が出ています。
こちらは紺色に近い青のれんです。のれんの色が濃いので、白い猫のデザインが映えますね。
オレンジのれんの事例
オレンジののれんは、親しみやすい印象があります。おそらく筆で描かれた「一丁目」の文字からは年季を感じます。
こちらは発色の良いオレンジですね。黒文字の周りを白で囲んでいるので、視認性が良く、スッキリした印象を与えています。
茶色のれんの事例
薄い生地で透け感のあるのれんです。シンプルなデザインに洗練された印象をもちます。
こちらは赤みのある茶色です。中央の「鰻ロゴ」のデザインから、ひと目で鰻屋さんであることが分かります。
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