生成りとは?意味やアイボリーとの違い。手入れ方法やアイテムも紹介

生成りとは

「生成り」という言葉、ファッションに敏感な人やハンドメイドをする人には聞き馴染みがあるかもしれませんが、よくわからない方も多いことでしょう。

この記事では、生成りの正しい知識をお伝えするとともに、生成りを使ったおすすめのアイテムをご紹介します。

目次

「生成り」とは?

「生成り」は、「きなり」と読み、英語ではエクリュと言います。色の名前としてもよく使われる言葉ですが、本来は、天然素材のありのままの状態で、何も手を加えていない布地や糸を指します。

近年は、地球環境に優しいサステナブルなアイテムとしても注目されています。

生成りは、製造工程において、漂白や染色、薬剤による化学処理を施さず、綿や麻といった天然素材の持つ風合いや色味をそのまま残しています。加工を施していないため、原料となる植物によって生地の色合いはまばらです。

また、織物や編み物だけでなく、皮革にも生成りがあります。

皮革の生成りは、植物のタンニンでなめしただけの、余分な加工を一切行っていない革のことを指します。色は薄いベージュに近いですが、経年による色の変化がわかりやすく、使い込むことによって変化を楽しめるのが魅力です。

【色見本あり】生成りはどんな色?

色としての生成りは、公害問題などの時代背景により自然志向が高まった、昭和70年代ごろに誕生しました。

JIS規格の慣用色名では「赤みを帯びた黄みの白」と定義づけられており、その絶妙な色合いから、アイボリーやオフホワイト、ベージュなどと混同されやすいです。

(出典:物体色の色名|日本産業規格

こちらでは、それぞれの色の違いを紹介します。

あわせて読みたい
ジェンダーレスカラーとは?2023年のトレンドや代表カラー、ファッション事例を紹介 性別関係なく使えるジェンダーレスカラーは、ファッション業界を中心に多方面から注目が集まっています。この記事では、代表的なジェンダーレスカラーや2023年トレンドカラーを紹介しています。さらにジェンダーレスカラーを取り入れたファッション事例もピックアップしているので、ぜひ最後までご覧ください。

生成り色と「アイボリー」「オフホワイト」「ベージュ」の違い

生成り色はエクリュカラーとして、ファッション用語でも知られています。

JIS規格で定義された生成り色は、アイボリーよりも柔らかく暖かみがあり、ベージュよりは淡くやわらかなカラーです。ほど良くナチュラルな雰囲気で、ファッションに取り入れると大人っぽく仕上がります。

アイボリーは、JIS規格では「赤みを帯びた黄みのうすい灰色」と定義付けられています。生成り色と似ていますが、比べると少しだけ黄色がかった色味をしていることがわかりますね。

ベージュは、JIS規格では「明るい灰みの赤みを帯びた黄」と定義付けられています。茶色に黄色を混ぜたようなくすんだ薄い色味で、漂白をしていない羊毛のような色と例えられることもあります。生成り色と比べて色が濃いので違いは明らかです。

オフホワイトは、英語の綴りが off-white で「白から外れた」という意味だとされています。JIS規格での明確な定義はされておらず、一般的には、純白に少しだけ灰色や黄色を混ぜたような、くすんだ白色を指すことが多いです。

(出典:物体色の色名|日本産業規格

生成り色が似合う人は?

生成り色は、近年の流行カラーとしても、ファッションアイテムに多く取り入れられていますが、どんな人にでも似合うというわけではありません。

生成り色は、やや黄味を帯びているため、同じく肌に黄味を持つイエベの人に似合う色だと言えるでしょう。イエベの肌は全般的に、春や秋を感じさせる暖色系の色との馴染みが良く、相性は抜群なので、生成り色を身につけることで上品で洗練された雰囲気になれます。

一方で、ブルベの人が生成り色を身につけると、肌がくすんで見えたり不健康な印象になったりすることがあります。そのため、ブルベの人は灰色がかったオフホワイトなど、黄味を感じさせない寒色系の色がおすすめです。

生成りの特徴や魅力

生成りは、その絶妙な色合いや素朴さから、自然志向の人からも人気の高い生地ですが、実際に生成りにはどんな魅力があるのでしょうか?

素材そのままの風合い

生成りは、原料となった植物によって一つ一つ色合いが異なるため、天然素材そのままの風合いを楽しめるのが魅力です。

生成りのコットン生地やリネン生地の表面に黒い斑点が見られることがありますが、それは原料となった植物の破片であり、生成りの特徴です。また、生地表面にふしやささくれがあったり、糸の色や太さがまばらであることもあり、そうした特徴が、かえって独特の風合いや味のある素朴さを生み出しています。

そして、使い込むごとに柔らかく、くたっとした肌馴染みのよい手触りへと変化していくことで、より一層愛着が湧いてくるのが生成りの魅力と言えるでしょう。

人体にも環境にも優しい

生成りは漂白や染色を行わないため、地球環境に優しいサステナブルな素材として注目されています。

国連の調査によると、世界の水質汚染の原因の20%は、繊維製品を染色する過程で発生しているとのことです。通常、染色は大量の水を使用するため、染料により川が汚れたりする事がありますが、生成りは染色過程を省いているため水や土壌を汚すことがありません。

(出典:「持続可能なファッションのための国連アライアンス」とは?|国際連合広報センター)

加えて、製造過程で化学薬品を使用しないことから、肌に触れてもアレルギー反応やかゆみが出にくく、人体にも優しい素材と言えます。そのため、肌の敏感な赤ちゃんの衣類にもよく使われています。

どんなファッションでも合わせやすい

生成りを使ったアイテムは、素材を活かしたシンプルなデザインのものが多く、さまざまなファッションに合わせられるのが魅力です。

生成り自体が控えめな色なので、どんな色のアイテムと合わせても派手にならず、それらを引き立たせてくれます。

流行に左右されない普遍的なデザイン性や、丈夫な素材で使い込むごとに馴染んでいくことから、長年使えるのも嬉しいポイントです。

生成りをお手入れするときのポイント

生成りは、天然素材そのままの素材であるため、お手入れをする際に気を付けなければいけないポイントがいくつかあります。

洗濯するとき

生成りは薄手ですが丈夫で長持ちするため、毎日の洗濯でも傷みにくい素材です。使い始めは、固くゴワゴワとした肌触りで吸水性が良くありませんが、繰り返し洗濯をしていくうちに柔らかい肌触りとなり、吸水性も良くなります。

また、速乾性が良く、使い込んで吸水性が良くなったとしてもそれは変わりません。

洗濯には強い反面、紫外線には弱く、日に当たると色やけや色あせが起こりやすいため、干すときは陰干しするのがおすすめです。また、取り扱いを誤ると変色してしまう恐れがあるため、クリーニングに出す際は、生成りであることを事前に伝えるなどの注意が必要です。

蛍光増白剤の使用は避ける

洗濯には強い生成りですが、蛍光増白剤入り洗剤の使用は避ける必要があります。

蛍光増白剤は、白色をより白く見せるためのものであり、生成りではない白色の生地に適したものです。そのため、生成りや染色された生地に蛍光増白剤を使用すると、白っぽくなってしまうことがあるため、洗濯の際は使用する洗剤に注意しましょう。

また、もしも蛍光増白剤で生成りが白っぽくなってしまった場合でも、白さを薄めることは可能です。その場合は、表示の範囲内でなるべく高い温度のお湯を使い、蛍光増白剤が入っていない洗剤や石けんで繰り返し洗濯することで、次第に白さが薄くなっていきます。

(出典:「お洗濯119番(失敗事例 その原因と防止策)」|日本石鹸洗剤工業会 (JSDA)

カビが生えたとき

生成りは不純物を除去する精錬加工をしない性質上、生地の中に植物の有機的な物質を残しているため、それがカビの栄養源になりやすいという面があります。特に、よく生成りが使われているキャンバス地には、カビが発生しやすいため注意が必要です。

キャンバス地は生地の織り方の一種で、帆布とも呼ばれています。

麻糸や綿糸を平織りしてつくられた厚手の生地で、その構造上、織り目にホコリや汚れが溜まりやすく、それらがカビの栄養源となります。加えて、湿気を吸着しやすい性質でもあるため、カビの発生条件を満たしやすいのです。

では、カビが発生してしまったらどうしたらよいのでしょうか?

もしカビが発生しても、以下の手順通りに正しく対処することで、きれいにカビを取り除くことが可能です。

黒カビの場合

  1. お湯に酸素系漂白剤を加えて30分~2時間浸け置きします。
  2. カビをブラシでこすります。
  3. よくすすぐことで、カビを除去できます。

白カビの場合

  1. まずは乾いた布やティッシュペーパーでカビを取り除きます。このとき、カビの胞子を吸い込まないようにマスクを着用し、屋外で作業することが望ましいです。
  2. アルコールスプレーやアルコールを含ませた布などで除菌します。
  3. 色柄ものにも使える酸素系漂白剤で洗濯することで、カビを除去できます。

生成りを使ったおすすめアイテム

生成りは、シャツやワンピースなどの洋服からポーチやバッグなどの小物まで、幅広いアイテムに使用されています。コーディネートにさり気なく取り入れると、自然なこなれ感が出て一気におしゃれ度がアップするので、ファッション好きなら一つは持っておきたいアイテムです。

ここでは、生成りを使ったおすすめのアイテムを3つご紹介します。

シャツ

生成り生地はナチュラルな素材感なので、シャツアイテムにぴったり。どんな服と合わせても邪魔にならず、丁度良くカジュアルダウンしてくれます。

通気性が良く、さらっとした肌触りで涼しく着られるので、夏や秋の季節におすすめのアイテムです。

生成りシャツ1

こちらの生成りシャツは、ゆったりしたシルエットでありながらシャツのきちんと感もあり、さらに生成り特有の暖かみのある風合いも出ている素敵なアイテムですね。

ブラックのジーンズ、色物のスニーカーと合わせて、ラフでありながら清潔感のある着こなしに仕上がっています。

生成りシャツ2

こちらの生成りのシャツコートはハンドメイド品です。

ロング丈ですが重たい印象にならず、生成りの軽やかさが活かされていますね。これ一枚で様になるので、どんなアイテムと組み合わせてもおしゃれに決まりそうです。

あわせて読みたい
【初心者】オリジナルTシャツの作り方。デザイン作成やプリント方法を紹介 Tシャツの作り方はさまざまです。デザイン作成からプリントまでのすべてを自分で行うやり方もあれば、一部を業者に任せるやり方も。この記事ではTシャツの作り方について、Tシャツ本体の作成、デザイン作成、プリントの3つに分けて解説しています。ぜひ納得のいくオリジナルTシャツを作ってみてくださいね。

トートバッグ・エコバッグ

生成りのバッグは、カジュアルコーデはもちろん、キレイ目コーデに取り入れても違和感がなく、使い勝手のよいアイテムとして非常に人気があります。

特にトートバッグやエコバッグは、丈夫な作りで長く使えるのも嬉しいポイント。シンプルで温かみのあるデザインなので、流行に左右されずオールシーズンで活躍できます。

生成りバッグ1

こちらのハンドメイドのトートバッグは、生成りとブルーのコントラストが効いていて、とてもおしゃれな一品です。

しっかりとした作りと洗練されたデザイン性から、どんなシーンでも活躍できそうなアイテムですね。

生成りバッグ2

こちらは、オリジナルのイラストをプリントしたエコバッグです。

猫ちゃんのシュールなイラストが何とも言えないかわいさで、シンプルかつインパクトのあるデザインに仕上がっています。

ショルダーバッグ

生成りを使ったショルダーバッグの種類はさまざまで、タウンユース用の小さいサイズから旅行用としても使える大きいサイズのものまであります。

生成りが控えめな存在である分、フォルムや肩ひもなどのディテールに遊びのあるデザインを取り入れているアイテムが多いです。

生成りショルダー1

こちらは、ポシェット型のショルダーバッグです。

バッグの口部分が折れるデザインになっていたり、紐部分がカラフルなパラコードになっていたりと、ミニマルかつ個性あふれるデザインがかわいいアイテムですね。

生成りショルダー2

こちらは、グラフィカルなロゴデザインをプリントしたショルダーバッグです。

大きめのサイズで内ポケットも付いているので、収納性もばっちり。

生成りの素朴さとプリント柄のストリートっぽさを掛け合わせた、男女関係なく使えるデザインが魅力的です。

生成りを使ったオリジナルアイテム制作ならwatasiino!!に!

素朴な風合いと、丈夫で長く使える優れた機能性が魅力の生成りアイテム。オリジナルのアイテムを作れたら、より一層大切に使えるはずです。

オリジナルの生成りアイテムの制作なら、watasiino!!がおすすめです。

watasiino!!では、デザインの制作から印刷までワンストップで依頼でき、生成り素材のプリントにも柔軟に対応できます。さらに、写真や簡単なイラストなどのイメージがあれば、専門のデザイナーがクオリティの高いデザインを作成してくれるので、デザインができなくても安心です。

オリジナルの生成りアイテムを作りたいと思ったら、ぜひ一度watasiino!!に相談してみてくださいね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次