オリジナルブランドの立ち上げ方は?費用や失敗しないためのポイントを解説

オリジナルブランドの立ち上げ方は?費用や失敗しないためのポイントを解説

「洋服や小物、アクセサリーなど自分で作ったもの」、あるいは自分で作れなくても「自分が可愛いと思うもの」を世の中に広めたい方は多いはず。

でも、それを実現するためにはこまごまとした手続きが必要です。そのとき、事前情報のあるなしで、かかる費用や手間が大きく違ってきます。

この記事を参考に、あなたに合った方法で、あなただけのオリジナルブランドを立ち上げて欲しいと思います。

目次

オリジナルブランド立ち上げの流れ・手順

オリジナルブランドを立ち上げることは、自分の「好き」が仕事になるということです。つまり「自分の好きなものを(制作し)販売する」ためだったら、多少の苦労や、世間に認知されるまでの長い時間だって、楽しいのかもしれません。この「好き」が、オリジナルブランド立ち上げの一番の強みになります。

ここでアパレルを前提に、具体的な「立ち上げ手順」についてみていきます。

1.コンセプトの決定

すでに「好きなもの=ブランド化したいもの」は頭の中でイメージされているでしょう。これを、コンセプトとして言語化します。この作業により、もやもやしていた部分がクリアになり、どんなお客様がターゲットになりうるのかなどが、決まっていきます。

2.ブランドネーム、ロゴの決定

コンセプトが決まれば、それに合わせたブランドネームとロゴを決めていきます。

候補が決まったら、それと同じあるいは類似のものがすでに商標登録されていないかをチェックします。同じブランドを使用していると、法的トラブルになり、販売停止や損害賠償を請求される恐れがあります。逆にいうと、自分の決めたブランドネームも、商標登録するのがベターです。

参考:商標等検索サービス

3.デザインする

製品のキモとなるデザインです。「自分でデザインする」「デザイナーに依頼する」「ブランド立ち上げ支援サービスを利用する」などの方法があります。自身のスキルやポリシーに合わせて選択します。

4.ブランドタグの作成

衣類等の場合は自分のブランド製品のために、以下のタグ類が必要になります。

  • ネームタグ:ブランドロゴのタグ。製品に縫い付ける。
  • 品質表示タグ:素材や洗濯方法、連絡先などを記載する(家庭用品品質表示法で定められている)。
  • その他:場合によっては、サイズタグや下げ札など。

5.サンプル品の制作

デザインを基に、パターン(型紙)を起こし、生地などを決めたら、製品のサンプルを試作します。この時点で製作所に依頼することになります※。そして、ここが成功の分かれ目です。修正すべき点はないか、徹底的にチェックしてよい製品へブラッシュアップします。

※デザインだけ持ち込めば、バターン起こしから引き受けてくれる工場もあります。

6.販売方法を決める

販売方法は費用のかからない順に、「ネット販売」「フリーマーケット販売」「実店舗販売」となります。

手持ち資金や今後の事業計画を考慮し、最適な方法を選びます。またSNSなどを利用して、ブランド認知を高めます。

7.本生産を依頼する

どのくらいのロットを発注するのか、見極めが重要です。また、ロットにより単価や納期が違ってきます。

8.諸届

年間所得(=売上-仕入と経費)が20万円以上になったら確定申告が必要になるので、どうせなら「開業届」を税務署に提出し事業所得として申告・納税しましょう。事業所得にすれば青色申告控除を利用することも可能(別途、「青色申告承認申請書」の提出必要)となり、所得税額が圧縮できます。

(注1)本来、開業届は開業から1か月以内に、青色申告承認申請書は開業から2か月以内に提出することが定められています。しかし、遅れた場合でも、ペナルティはありません(青色申告の適用時期が、翌年度にずれ込む場合があります)。
(注2)開業届は、税務署の受付印をもらい、コピーを保管しておきましょう。後日、事業として助成金の申請を行う場合などに、必要となります。

さて具体的手順をみてきましたが、今の時代は以前よりオリジナルブランド立ち上げ条件が「ずっと有利」です。それは、ネット社会になり、いろいろなサービスをネットを通じて委託できるようになっているからです。

たとえば「ロゴの作成」。今ならネット仲介サービスを使って、プロのデザイナーに安価で依頼できます。苦手な部分は、どんどん外注できるのです。

オリジナルブランドの立ち上げ費用は?

オリジナルブランドの立ち上げ費用は、ピンからキリまであります。特に、販売方法で「(初期手数料無料の)ネットサイトを利用」するか、「実店舗」で開業するかで、大きく差がつきます。

できるだけお金をかけない場合

エプロンブランドを立ち上げ、ネットで販売している方の場合です。合計金額は15万円、内訳は以下のとおりです。

項目 金額
商標登録 約5万円
ロゴ作成 0円
サンプル品作成(1点) 約2万円
生地(原材料)の仕入 約2万円
商品の制作(20点) 約4万円
洗濯タグとネームタグ(200枚くらい) 約5千円
包材の購入(ラッピングなど) 約5千円
ネットショップの構築 0円
商品写真撮影 約1万円

出典:梅原さんのブログ

お金をかけて実店舗販売する場合

お金をかけようと思えばいくらでもかけられるのですが、東京で実店舗を準備しようと思うと、初期費用は1,000万円を超えるようです。

項目 金額
賃貸借契約(敷金等) 280万円
家賃6か月分 240万円
内装工事 200万円
設備 150万円
仕入れ 200万円

出典:カラーミーショップ

オリジナルブランドの立ち上げ、そもそも儲かる?

まず結論として、儲かるかどうかは分かりません。立ち上げたブランドの内容、経営をする方の経験や方針、時代、運……「儲け」は、さまざまな要因で変化するからです。

少しでも儲かるようにする方法をあえて述べるなら、「武器を持つこと」「計画性を持つこと」などでしょうか。それでも一部のカリスマや強運を持つ人は成功してしまう世界ですから、儲けることが目的の方は、そのために必要なことを自分なりに考えて実践するとよいでしょう。

オリジナルブランド立ち上げで重要な製作所(工場選び)のポイント

製品製造の「実作業」を依頼することになる工場の選び方です。注意すべき点を説明します。

コミュニケーションを密に取れる先を選ぶ

依頼すべき工場をネットで探せば、たくさんヒットします。しかし本当に失敗したくないのであれば、オンラインでもよいので「面談しながら依頼や交渉ができる工場」を選びましょう。

こうすることにより、細かい指示も出しやすくなります。何度も顔を合わせているうちに、多少の無理が効くかもしれません。

自分という人間を知ってもらう

相手(工場)は、あなたがどんな人間か知りません。「無理な条件(小ロットで短納期とか)を出してくるのではないか」と、警戒しているかもしれません。

こんな時、するべきことは一つです。正直に、あなたの要望を伝えることです。加えて、相手のメリットになることも必要です。たとえば、「今は小ロットですが、〇〇売れたらまとまった発注をします」などと、販売計画も説明します。

オリジナルブランド立ち上げの成功例・失敗例

成功例と失敗例をみていきます。参考にしていきましょう。

成功例

<実例>

  • カテゴリー:大人向けカジュアルの製作・販売。
  • 販売形態:フリマから始めて、現在はネットと実店舗で営業
  • コンセプト:〇〇(地名)の特別な時間
  • その他:出店時は経費節減のため、自分たちで作業(コンクリート練り、壁塗り直し等)。店づくりの過程をSNSで発信していたため、開店時には多くのお客様が来店し、成功へとつながった。

コンセプトが明確なことや、立ち上げ時のコストを抑えられたことなどが成功の要因でしょう。また、SNSの活用は、ネット販売に限らず実店舗でのブランド運営でも重要なポイントになることがわかる例ですね。

失敗例

成功確率より失敗確率の方が高いはずなのですが、それを世間にアピールする方(〇〇の失敗体験ブログとか)がなかなかいません。

ここでは、世間で一般的にいわれている「失敗しがちな項目」「向かない性格」についてご紹介します。

・一歩踏み出せない人

いつまでも準備中で、事業を開始しない人。このタイプの人は、自分に対し「できない理由」を述べて納得しています。これではブランド立ち上げだけでなく、何事も成功できません。

・集客がうまくいかない

お客様を集めるのは、新規ブランドに限らず難しいことです。告知不足など、マーケティング全般にかかわる問題でもあります。でも自分の好きなものを売るのですから、長期スパンでコツコツと取り組みましょう。

・類似デザインとトラブルになる

事前のリサーチ不足で、他社製品に酷似した商品を発売したケースです。法的トラブルに発展しないよう、事前のリサーチは十分に行いましょう。

オリジナルブランドは誰でも立ち上げられる?

基本的には誰でも、ブランドを立ち上げることができます。多くの人が疑問に感じていることなので、もう少し詳しくご説明します。

一般人がオリジナルブランドを立ち上げる場合

アパレルの場合、立ち上げの際に特別なスキルや資格は必要ないので、「やる気」と「ノウハウ」があれば可能です。経済的に難しいときは、フリマから小さく始める方法などがよいでしょう。

高校生など学生がオリジナルブランドを立ち上げる場合

高校生でも特に問題はなく、実際、たくさんの高校生ブランドがあります。

注意点としては、18歳未満は法律行為(契約締結など)が自身ではできません。親権者(通常は両親)の同意をもらいます。あとは、学生をだまそうという悪い大人がいます。そういうのに引っかからないように、法律行為と同様、身近な大人のアドバイスをもらいましょう。

まずは製作可能か、工場に問い合わせてみよう!

ここまで、オリジナルブランドの立ち上げについてまとめてみました。

文中でも触れた通り、ネット仲介ビジネスの進展により、個別作業の外注が驚くほど簡単になっています。夢を実現したい皆さんも、こうしたメリットを有効に活用しましょう。

アイデアがすでにあるのであれば悩まず、まずは縫製工場や印刷会社(Tシャツプリント等の場合)へ問い合わせしてみましょう。

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