前掛けとエプロンの違いとは?用途別の選び方や自作するときのポイントも紹介

前掛けとエプロンの違い

前掛けとエプロンは、家庭での作業時や飲食店でのユニフォームなど、幅広いシーンで活用されている作業着です。

どちらも似た役割を持つアイテムのため、呼び方が違うだけで同じ物だと思っている方も多いのではないでしょうか。しかし実際には、役割や着用シーンなどに明確な違いがあります。

この記事では、前掛けとエプロンの違いや用途別の選び方、自作するときのポイントなどをご紹介します。具体的な製作事例も紹介するので、オリジナルの前掛けやエプロンの製作を考えているという方は、ぜひ参考にしてください。

目次

前掛けとエプロンの基本的な違い

まず、前掛けとエプロンの基本的な違いについて解説します。

前掛けとは、下半身に汚れが付かないように腰に巻く布で、室町時代から使われてきた日本の伝統品です。前掛けが定着したのは江戸時代頃で、衣類の汚れ防止や怪我の防止などの目的から、職人や商人の間で重宝されるようになりました。

一方で、エプロンは上半身から下半身までを、汚れが付かないように覆うもので、いわば西洋の前掛けです。16世紀頃から、ヨーロッパの農民や労働者階級の人々の生活に取り入れられるようになり、日本では戦後に普及しました。

このように、前掛けとエプロンはどちらも汚れを防ぐために着用する布ですが、前掛けは主に下半身を、エプロンは上半身と下半身を覆うものであるという違いがあります。

前掛けを着ける意味とは?

前掛けは、主に飲食店や商店などの店員が身に着けていますが、着用の意味や理由はさまざまです。

まず大きな理由として、汚れを防ぐためというものがあります。居酒屋などの飲食店では、食べ物の運搬や洗い場での作業で衣服が汚れやすいため、それらを防ぐ目的で着用されます。

ほかには、腰痛や衣服の破れを防ぐためという意味もあります。

前掛けは、腰骨の辺りで紐を強く締め付けて着用するため、コルセットのような作用が働いて関節が安定し、腰への負担が軽減されるとされています。また、以前はお酒の入ったケースが木箱だったため、運搬する際に木箱のトゲやささくれで衣服が破れることを防ぐ目的でも着用されていました。

そして、前掛けの重要な役割として広告宣伝があります。前掛けに店名やロゴを入れてユニフォームとして使用することで、店の集客や宣伝にもなるため、多くの飲食店で採用されています。

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参考:サロンとエプロンの違い

エプロンと似たような役割を持つものとして、サロンがありますが、エプロンとサロンとでは使用目的や着用されるシーンが違います。

サロンは、上半身を覆う胸当て部分がない、丈の長いエプロンのことで、腰エプロンとも呼ばれています。カフェやレストランなどの飲食店や、洋菓子店のユニフォームとして使用されることが多く、身に着けているだけでおしゃれな雰囲気を感じる人も多いでしょう。

一方でエプロンは、家庭用のほかに花屋やスーパーの店員といった、水仕事や軽作業などの胸元まで汚れる作業を行う業種でのユニフォームとして使用されています。

サロンを「腰エプロン」「サロンエプロン」と呼ぶこともあり、エプロンのほうが広義で使える言葉ともいえます。

このように、サロンはデザイン性を重視したものであるのに対し、エプロンは機能性を重視したものとなっています。そのため、サロンとエプロンのどちらを採用するか迷った際は、使用目的や着用シーンから考えましょう。

参考:前掛けと帆前掛けは同じもの?

前掛けの一種として、米屋や酒屋などで古くから使われている「帆前掛け」というものがあります。どちらも同じもののように見えますが、使用される生地の染料方法や形状が異なります。

一般に前掛けと呼ばれるものは、綿生地や刺子生地などに、化学反応によって染料と繊維を結びつける「反応染料」が使用されています。

一方、前掛けの中でも帆前掛けは、裾部分にフリンジの付いた厚い生地に「硫化染め」と呼ばれる藍色の染料を使って作られます。また、帆前掛けは汚れを防ぐほかに、生地の厚さを利用した防寒具としての使い方もされています。

前掛けとエプロンの素材の違い

前掛けとエプロンでは、使われている素材にも違いがあります。ここでは、それぞれの素材の違いについて解説します。

前掛けの素材

前掛けや帆前掛けは、帆布などの綿素材でできた厚い生地が使われる場合が多く、比較的丈夫な作りとなっています。

また昭和30年代~40年代には、前掛けの生地は「1号」「2号」「3号」と、使われている生地のランク毎に通称で呼び分けられていました。なかでも、1号前掛けは最高級の前掛けと呼ばれ、太くて丈夫な糸を使用した、分厚いながらも非常に柔らかい生地が特徴でした。

エプロンとの違い

エプロンは前掛けと違い、生地が薄く、主にコットン(綿)やポリエステルなどの素材が使われています。素材によって、手入れのしやすさや扱いやすさが変わるため、どの素材を選ぶか迷った際は、それぞれのメリット・デメリットを見て決めるとよいでしょう。

コットン(綿)素材は、火に強く静電気も起こりにくいため、扱いやすいのがメリットです。一方で、濡れると乾きにくく、色落ちしやすく、シワにもなりやすいというデメリットがあります。

ポリエステル素材は、水に濡れても乾きやすく、型くずれや色落ちなどがしにくいため、手入れがしやすいのがメリットです。しかし、熱や火に弱い、静電気が起こりやすいなどのデメリットがあり、火を扱う作業やアイロンを行うときなどには注意が必要です。

どちらの素材の良さも活かしたエプロンを選びたいという場合は、コットンとポリエステルの混紡素材を選ぶことをおすすめします。

ほかにも、エプロンで人気の素材として、デニム生地やリネン(麻)素材があります。デニム生地のエプロンは、ファッションアイテムのようなおしゃれな雰囲気があり、家庭用のエプロンの素材としても人気です。リネン素材は、独特の風合いと肌触りの良さから、快適な着心地に仕上がるため、こだわりの一着が欲しい場合におすすめです。

また、生地に施されている加工によって、撥水や防水、静電、防汚・防脱色などの機能が付いているものもあるため、用途に合わせて選びましょう。

前掛けやエプロンの利用シーンにおける違い

前掛けとエプロンでは、それぞれの使用に適したシーンが違います。ここでは、前掛けとエプロンの利用シーンの違いを具体的に解説します。

前掛けがおすすめのシーン

前掛けは、下半身の汚れ防止や腰痛防止として役立つため、居酒屋などの飲食店や酒屋などの商店で、ユニフォームとしてよく使用されています。

そのため、重いものの持ち運びや洗い場作業のある業種、上半身があまり汚れない接客業などで使用するのにぴったりです。

そのほかにも、アウトドアやDIYの作業時の使用にも最適です。前掛けは、エプロンよりも厚手の生地を使用しているので、キャンプやバーベキューでも重宝します。

例えば、火起こしの際に火の粉が飛んできても、前掛けの厚い生地が衣服をガードしてくれます。また、薪運びやDIYでの木材の持ち運びの際にも、前掛けに薪や木材を載せて運ぶことで、手の怪我を防ぐことが可能です。

さらに、前掛けは日本の伝統工芸品でもあるため、海外の方へのプレゼントにもおすすめです。職人技術で生み出された前掛けは、実用的でありながら和の雰囲気を感じられるので、贈り物として選ぶ人も少なくありません。

エプロンがおすすめのシーン

エプロンは前掛けと違い、上半身から下半身の汚れを防ぐことができるため、油や水撥ねが多い調理場で働く業種や、軽作業を行う業種などに適しています。

花屋やスーパーの店員、ハウスクリーニングといった業種では、業務中に服が汚れやすいので、エプロンを着用していることが多いです。

また、家庭内で家事を行う際や、子供や高齢者を相手にする保育や介護の仕事でもエプロンは重宝されています。保育や介護の仕事は汚れやすいうえに、メモや筆記用具、消毒用アルコールや体温計など、持ち歩く仕事道具も多いので、ポケットに物を収納できるエプロンが最適です。

さらにエプロンは、工芸や工作を行う際にも活躍します。絵具で絵を描いたり工作で作品を作ったりするときは、材料が周囲に飛び散ってしまい服が汚れやすいため、作業中はエプロンを着用するのがおすすめです。

【自作するなら】オリジナルの前掛けやエプロンを作るときに考えること

オリジナルのエプロンや前掛けを作る際は、形やサイズ、色、デザインなどを考える必要があります。ここからは、それぞれの項目についての考え方を詳しく解説します。

形・サイズを決める

オリジナルのエプロンや前掛けを作る際は、まず形やサイズを決めます。

エプロンの場合は、体型をカバーするものや肩が凝らないものなど、着心地や体型から考えて、形や紐の長さを決めるとよいでしょう。エプロンの形は大きく分けて、たすき掛け、首掛け型、 H型、かぶるタイプの4種類があり、それぞれにメリットやデメリットがあります。

エプロンの形 特徴
たすき掛け 紐が背中側でアルファベットのXのようにクロスしています。安定感のある着心地で、自分のサイズに合わせて腰紐を調節できますが、比較的着脱に時間がかかり、肩紐がずれやすいという点がデメリットです。
H型 紐が背中部分でアルファベットのHのようになっています。腰紐がなくボタンで固定する仕様のため、着脱が簡単なことがメリットですが、シルエットがストンと真っ直ぐで、他のタイプと比べて地味な印象があります。
首掛け型 肩紐と腰紐が別々になっていて、首に紐をかけて着用する仕様です。シルエットがすっきり見えるのがメリットですが、首や肩が凝りやすいというデメリットもあります。
かぶるタイプ 背中からお尻にまで布があり、頭からかぶって着用します。背中を布ですっぽり覆うことができるため体型をカバーできますが、紐を2回結ぶ必要があり、着脱する手間がかかるのがデメリットです。

前掛けの場合は、丈の長さによって動きやすさや与える印象が違うため、利用シーンから形を決めます。

 

丈の長さ 特徴・利用シーン
50cm以下 動きやすく、ポケットが付いているものが多いため、居酒屋のホールスタッフなどに最適です。
50cm~60cm 丁度良い丈感できっちりした印象があるため、カフェやレストランのウェイターなどに向いています。
70cm~95cm 足を覆う長さで男性から人気があります。バーテンダーやソムリエなど、高級感のある職業におすすめです。

また、着用シーンに合わせてポケットの有無も決めます。着用時に道具を多く持ち運ぶ場合は、ポケットのあるデザインにするのがおすすめです。

左右にポケットが一つずつあるタイプや、中央に大きめのポケットが一つあるタイプなど、ポケットのデザインもさまざまなので、使いやすさや好みで決めるとよいでしょう。

色を決める

色は、家庭用の場合は自分の好みで決めるとよいですが、飲食店などでユニフォームとして着用する場合は、店や会社の雰囲気に合わせて決めるのがおすすめです。ユニフォームのエプロンでよく使われる色としては、黒や白、紺などがあります。

シックで落ち着いたイメージや高級感を与えたい場合は、黒がおすすめです。バーやダイニングキッチンなど、夜間に営業している店に適しており、どんな服でも合いやすいのがポイントです。

白は清潔感のある印象のため、厨房で働くコックやレストランのウェイターなどのエプロンでよく使われています。汚れが目立ちやすいため防汚加工を施すとよいでしょう。

紺は、黒よりも明るく爽やかで店の雰囲気に馴染みやすい色として人気です。和風なイメージもあり、和食店や居酒屋などでよく使われています。

デザインを決める

デザインに迷った際は、自分の好みや店の雰囲気などから考えましょう

エプロンの場合は、柄物やカラフルなプリント生地などにすると可愛い印象になり、前掛けの場合は、単色やロゴのワンポイントなどにするとスタイリッシュになります。また、布地と紐部分で色や柄を変えてみると、さり気ないおしゃれ感が出るのでおすすめです。

店舗でユニフォームとして使う場合は、店の雰囲気や広告の観点から考えることで、店のイメージに合ったデザインに仕上げられます。デザインにこだわりたいなら、オリジナルのイラストやロゴなどをプリントするのもよいでしょう。

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